Слободкина Ольга
Сборник "Лоскутный коврик" в переводе на японский Окумурой Фуминэ

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  • Сборник стихов: Поэзия

  •   Лоскутный Коврик
      つぎはぎのラッグ
      
      (Предисловие)
       この詩集には、様々な年代に書かれた、テーマもスタイルもばらばらな詩の走り書きが収められています。詩集の名前は子供時代の思い出に由来します。わたしは当時ペルロフカ村のダーチャで暮らしていました。そこに、祖母のイリーナ・セルゲーエヴナ・ヴォン=ブロムセンが、はぎれ布を継いで作ったラッグがありました。わたしはその上を歩きながら言ったものでした―「お母さんのワンピース、お父さんのシャツ、リョーシカのパジャマ......」
      
      
      "Это дерево всё ещё плачет - смолой"
      
      Ⅰ.
      その木はあいかわらず泣いている―やにの涙...
      けれどもう殆ど...
      ずっとずっと窓の
      枠を飾ってやっていた
      古いベランダで...
      
      あいかわらず泣いている
      若かったころを想いながら
      幸せだった
      仲間たちとならんで
      野生の森に伸び育ち
      空へ枝葉をひろげ
      主への至福の賛歌を
      歌った日々
      
      あいかわらず泣いている
      ベランダも
      そしてあの家も
      もはや存在しないのだと...
      
      あいかわらず泣いている
      追い出された子らを想い泣く
      この家を
      建てた人たちが亡くなっても
      家は愛と温もりの砦であった...
      
      あいかわらず泣いている
      想うのは
      もう取り戻せはしないということ
      あのベランダも、日除け戸も―
      紐を引くと
      畳めるようになっていた...
      ピアノを弾き飽きた子供たちが
      逃げてきては
      腰かけ揺らしていた
      揺り椅子も。
      木はおぼえている、
      名工が細い蔓で拵えたという
      あの家具も。
      彫り物のある戸棚や食器棚
      本棚のひし形のガラス戸
      本がありがたがられた時代だった...
      おぼえている、
      少女のおばあさんが
      辛抱強く縫っていた
      カーテンと幕も...
      
      愛おしいおばあさん、あなたはどこに?
      知ってるかい、あなたの上の娘は
      あの子を
      あなたの死んだ息子の娘を
      家から追い払い
      そこをわがものにしようとした
      だが...そうはならなかった...
      
      あの家は取り壊されたのだ...
      
      残るものは?
      ただ記憶のみ...
      
      記憶もやにの涙を流す
      そしてやには、冷え固まる
      涙みたいに流れ落ちてはいかずに
      思い出を
      魔法の球に変えて
      すべてしまっておく
      
      天のほかに
      誰も知ることはない
      追い出された
      あの子らが
      "家"と名付けた
      物語を書くことになろうとは
      
      その最上の
      目に見えぬ世界には
      誰が住まうことになるのだろう?
      
      2021年11月7日
      
      
      
      Ⅱ.
      そしてまたわたしは家に...
      あの少女となって
      存在しない家に帰る
      そこで何が待ち受けているか
      知りもせずに
      
      だが
      時は止められぬ...
      
      時は冷え固まりはしなかった
      家を建て、そこに住んだ人たちが
      死んでしまっても...
      
      おばが
      少女を
      死んだ自分の
      弟の
      娘を追い出した時
      その子は11歳だった...
      
      時...
      時は止まらなかった
      あの家が取り壊されても...
      
      それは決して止まることはない―
      ただひたすら進むのみ。
      
      だが
      時というものが
      存在しない場所がある
      そこでは時を持たぬ聖なる家に
      完全さが住まう...
      
      そこでは祝い喜ぶだろう
      殺された者たち
      生まれてこなかった子供たち
      奪われた者たち
      すべての善き者たちが...
      
      地上では知り得ぬような
      平穏と愛がそこにあるだろう
      
      そしてかつて古いベランダで
      窓を飾っていて
      今では伐られてしまった
      あの木のやにみたいな
      涙が流れることもない...
      
      涙はここに
      この地上に残るだろう
      わたしの記憶のすきとおる琥珀に凝固して...
      
      2021年11月7日 聖エリザヴェータ修道院の聖体礼儀の日に。
      
      
      
      "В белой люстре молчит тишина..."
      
      ***
      
      白いシャンデリアに黙する静寂
      毛足の長い絨毯が壁を覆う
      孤独―それは待ち望む
      弦。客でも、盗人でもなく―
      
      時は刻一刻の響きを滴らせる
      台所の年季の入った蛇口のように
      「けっして、けっして来やしない
      あなたのもとには、けっして、けっして。」
      
      ガラスの下にブリューゲルの
      白い雪、犬たちの背が明るく輝く
      岩山の肌は剥がれ落ち
      額の外の闇のなかへ
      
      星々の名残のように
      眠らぬ窓に浮かぶ漆黒
      徹夜祷に入る。
      静寂がわたしの内に立ちつくす
      
      1988年11月20日
      
      
      
      "Солнце-в лицо..."
      
      顔を射る―太陽。
      木々の葉はまだ青い
      けれど...
      すでに黄に変わり
      散ったものも...
      
      それは―秋の顔...
      
      秋の並木道をゆく
      どこへともなく...
      とはいえ
      それが常だけれど...
      
      顔を射る―
      太陽。
      木々の葉はまだ青い、
      けれど...
      すでに黄に変わり
      散ったものも...
      
      それは―秋の顔。
      それは―わたしの顔。
      
      2015年10月21日
      
      
      
      "Во сне, в богатейшемпоместье..."
      
      夢のなか
      山あいの峡谷の
      とても裕福な領地では
      みなが祭りの準備をしていた
      
      わたしはことばを選び出していた
      ことばは氷に
      そして―薄いガラスの
      マトリックスに凝結してゆく
      
      記憶に残っていた
      最後の二行:
      
      「美よ、あなたはどこに?
      わたしの内に見つからなかった理想...」
      
      2007年12月20日
      
      
      
      "Все сметается со стола ветром..."
      
      何もかも風に吹きとばされる―
      ナフキン、
      詩を書きつけた紙片、
      祈祷書の言葉、
      古びたページ...
      
      風は珈琲をカップに注ぐことすらさせてくれない―
      珈琲の形状を吹き散らす...
      ひと遊びしたいらしい!
      
      風は吹きこむ、わたしの心の窓にも
      そして、思い出を弄び、
      記憶の碑から吹き払う...
      
      いつかわたしたちも地球から風に吹きとばされ、
      やってくるのだろう、別の者た
      ちが...
      
      でも当の風は不滅の
      四元素のひとつであり続ける...
      
      さいごのさいごまで...
      
      2021年8月17日
      
      
      
      "Луна всходила..."
      
      月が昇ってきた―
      赤い、おおきな月―
      そしてまるで
      少女がボール遊びを
      するみたいに
      地球を押し出した
      万聖節をひかえ
      天上の夢と憧れに満ちる
      夜に向って
      
      夢こそは天国
      そこには苦しみも
      のしかかる苦役もないのだから
      
      夢のような
      そんな澄みわたる忘却が
      得られたなら...
      
      日曜日には
      起きて
      万聖節の儀を迎えなさい
      神の恩寵で
      闇に克てるでしょう
      
      ともあれ今は
      おやすみなさい、
      赤い月
      撮り損ねてしまったが
      詩が書けたのはあなたのおかげ...
      
      全ての天体の分まで
      神を讃えよう!
      
      2021年6月26日
      
      
      
      "All of a sudden..."
      
      不意に
      すべてがあり得るように思えてくる...
      
      だがそれはわたしのドアを叩いた時の
      あなたの一瞬の激情にすぎなかった...
      
      何を伝えようと?
      わたしを覚えていると?
      まだ愛していると?
      
      それは分かっている...
      
      だがあの遠い昔から
      橋の下を
      どれほどの水が流れていったことか...
      
      そしてわたしは何か別の
      純粋に精神的な生き物に成り変わった...
      
      わたしと共に行くと?
      できるでしょうか?
      
      わたしの書いた「初恋の再来」と
      おなじふうに
      わたしの人生は終わるのか?
      
      2021年8月16-17日
      
      
      
      "Я просыпаюсь... И пока я ещё-между сном и явью..."
      
      目がさめてくる...
      まだ夢と現のあいだ
      至福と雑事のあいだにいるときは
      まだ生まれぬ赤子‐スーフィーとなって
      永遠の川を漂っているような
      そんな気持ちだ...
      
      もしわたしが
      まだ生まれぬ赤子‐スーフィーだったら
      生まれてくることを
      望んだだろうか
      悪と善のこの世界に
      
      2021年4月20日
      
      
      
      "Ветер тронет деревья..."
      
      風が木々に触れると
      枝は拍をとって揺れる
      風は監督であり
      指揮者だ。
      どこまでも忠実な枝たち。
      人間だとそうもいかぬ
      モーツァルトであれ
      パンクロッカーであれ。
      みな内に何かを秘めながら
      他者には無関心だ。
      
      何のために生きるかなど
      わたしたちは知らない
      誰ひとり知りはしない
      一秒ごとに人生はすり減る
      みなそれぞれの道を行くが
      ただそれだけのこと
      親しい人たち
      愛しい人たち
      師たちとの別れを重ねつつ...
      
      みなそれぞれの道を行く
      でもそれだけのこと。
      心に思うこと、考えることを
      口にすることはできない
      
      何のために来たのか
      わたしたちは知らない
      誰ひとり知りはしない
      そう...やって来て、生きる
      損得にかまわず一日一日を...
      
      なぜわたしたちは引き離されたのか?
      林檎? 蛇?
      開かれた状態でやって来て
      ただ幸福のみを待つわたしたち
      だが時とともに
      窓を閉じていき
      通りゆく者、よその者を冷淡に眺めている
      
      他人もまたわたしたちに対し閉じていて
      誰も知る者はいない
      彼らが何を考え思うのか―
      誰にもわからない。
      何がどうであれ、わたしたちは窓を閉じる...
      そこに石が投げられたりもする―
      不快なものだ。
      
      わたしたちはやって来る
      何のためかもわからぬまま―
      己を開き、待ち、
      怒り、
      去っていく、永遠に。
      お互いのことも
      全く知らぬまま
      みな人として造られたものであるのに。
      
      わたしたちはやって来る
      でもどこから? なんのため?
      不満は尽きぬ、だが生きるのは面白い
      そして去ってゆく、身ひとつで
      生涯闘い通した、何のためともなく。
      
      そうしてわたしたちは運命の道を彷徨う
      よそ者で、寄る辺なき放浪者たるわたしたち
      闘いよりも
      より善い何かがあると信じ
      わたしたちは生きる
      死という
      最後の奇跡の待望のなかで
      
      孤独で、みじめで、果てなき敵意に苛まれ
      果てなく何かを目指す―目的もなくぶらつくわたしたち...
      終わりを目前にして、なぜだか
      まるで靄の中の閃光のように
      人生が一日みたいにさっと煌めいたように思えるのだ
      まずまずの一生を送ったと、なぜかそんな気がしてくるのだ...
      
      2020年11月29日
      
      
      
      "Природа опять недовольна..."
      
      またも自然は不服だ―
      森や家々に雪をかぶせ
      木々の葉はまだ付けたままで
      染めてやってすらいない...
      
      女主人は怒り猛
      る
      
      だが芸術家からしたら
      これは日本庭園。
      
      彼は観照する―雪も
      家々も
      雪をかぶった
      まだ葉の青い
      木々も。
      
      芸術家は地上の変化のことは思わぬ...
      
      彼は観照する...
      
      CASTIS OMNIA CASTA -
      清き者にとってはすべてが清い...
      
      芸術家は
      自然の中に絵を見出すとき
      それを残しておくことだろう
      意識の至上のミュージアムに...
      
      2015年10月10日
      
      
      
      "In the morning..."
      
      ***
      
      朝
      まだわたしの心が
      夢と
      現
      実のあいだにあるとき
      
      はるかな高みで
      目に見えぬ誰かが
      詩の琴線に触れる...
      
      わたしがまだ朦朧としているうち
      その目に見えぬものは
      わたしの心のうちで
      詩の琴を甘く奏でる
      
      その歌は美しく神聖だ
      
      けれど
      目が覚めた時には
      その一行すら
      思い出せない
      
      そんな天上の案内人がいてくれれば
      書くのはさほど難しくない
      
      だが...ひとりきりで
      自力でとなると...
      
      2021年6月28日

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